2020年5月31日 サンデーモーニング(後編)

2020年5月31日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年5月31日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルスの第二波について報道された部分
② 「風を読む」にて国家安全法案について放送された部分
③ コロナウイルスの議事録が作成されていないことについて放送された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ コロナウイルスの議事録が作成されていないことについて放送された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
金曜日、新型コロナウイルスの専門家会議の議事録が作成されていないことが明らかになりました。立憲民主党・蓮舫議員は「国民の財産の公文書をばかにしてるし歴史的緊急事態に対しても背を向ける行為だと思ってまずは激しく強く抗議をします。」と述べました。
政府は議事の概要は公表しているんですが議事録は作成しておらず、これについて西村経済再生担当大臣は「自由に率直な議論をいただくということが大事であります。まさに発言者を特定しない形で議事概要を作成すると。」と述べています。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(全文):公文書管理のガイドラインに基づいた対応だと説明するんですが、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を歴史的緊急事態と指定し、適切な文書の作成や管理をすることを閣議了解しているはずです。野党側は今回の対応を受け、追及を強める構えですが、何かおかしいなと思いますよね、松原さん。

松原氏(全文):まさに今VTRでもありましたように今回のコロナの拡大というのは歴史的緊急事態とわざわざ政府は指定して、公文書をより詳しくちゃんと残さなきゃいけないんだよということを決めたんですね。ところが、今あったように議事録は残っていない。ただ、残っているのは名前がなしのこんなふうな意見が出たというものの簡単なまとめなんですね。これに対してなぜこれを残さないのか。菅官房長官は政策決定を伴わない会議であれば議事録はいいんだと、概要でいいんだと説明しているんですね。ただ、考えてみると政策決定を伴う会議というのは往々にして、例えば大臣なんかが予定していたものを次々読み上げるだけの儀式のようなものが結構あるわけですね。とすると、プロセスこそきちんと残さないと将来の検証に堪えないということが言えると思います。そして西村大臣は、自由な討議、討論が必要だからいいんだと、議事録ではなく概要でいいんだと言っているんですが、逆に、専門家のメンバーたちは、いや名前を出していいと言っているわけです。だからそういう声も聞こえてきているわけですからじゃ、なぜこれを残さないんだということになるわけですね。なぜ残すことが必要なのかをもう一回考えてみたいんですが、やはり検証のためというのが第一にあるんですが、実は私、最近、専門家会議の感染症の専門家からも例えば経済との両立をどうすればいいんだろうという声が、実は聞こえてきたりするのが気になっているんですね。例えば3・11のときは、気になってるんですけれども。例えば政府がどういうふうに検証するかというときに一斉休校を思い出したらいいと思うんですが、あのとき専門家会議は議論をしていないと言ったんですね。じゃあ政府はちゃんと専門家の意見を聞いて決めているのかあるいはおいしいところだけつまみ食いしているんじゃないかという心配も出てくるんですね。専門家会議、PCR検査、最初は抑制していたんですが、今は拡大に移っている。これはなぜそうなったのかというのも実は説明がなくてこれも議論が必要なわけですね。もう一つ、教訓を忘れちゃいけないと思うんですが、今、専門家会議の感染症のメンバーからも例えば経済との両立はどうすればいいかという言葉が出てくる。これとても気になるんですが、実は3・11のときに原子力の専門家が安全性だけじゃなく経済性も意識した、ある種原子力村に取り込まれたということがちゃんとしたまとめができなくなったということがいえているわけです。ちゃんとした対策が取られなかったと。その一方で、例えば大きな津波を懸念した人たちの意見は無視されて排除されたということが起きてしまっているんです。今の状況がそうだとは言いませんけれどもでもこういう疑念を持たれないためにも例えば、今でなければ、5年後、10年後なんかでもいいから、公開すべきだと思いますね。やはりこの政権、とても公文書の不透明さが指摘されています。これは何よりも、今回は命に関わることなんだということをこれは本当に忘れてはいけないと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):まさに今VTRでもありましたように今回のコロナの拡大というのは歴史的緊急事態とわざわざ政府は指定して、公文書をより詳しくちゃんと残さなきゃいけないんだよということを決めたんですね。ところが、今あったように議事録は残っていない。ただ、残っているのは名前がなしのこんなふうな意見が出たというものの簡単なまとめなんですね。これに対してなぜこれを残さないのか。菅官房長官は政策決定を伴わない会議であれば議事録はいいんだと、概要でいいんだと説明しているんですね。ただ、考えてみると政策決定を伴う会議というのは往々にして、例えば大臣なんかが予定していたものを次々読み上げるだけの儀式のようなものが結構あるわけですね。とすると、プロセスこそきちんと残さないと将来の検証に堪えないということが言えると思います。そして西村大臣は、自由な討議、討論が必要だからいいんだと、議事録ではなく概要でいいんだと言っているんですが、逆に、専門家のメンバーたちは、いや名前を出していいと言っているわけです。だからそういう声も聞こえてきているわけですからじゃ、なぜこれを残さないんだということになるわけですね。なぜ残すことが必要なのかをもう一回考えてみたいんですが、やはり検証のためというのが第一にあるんですが、実は私、最近、専門家会議の感染症の専門家からも例えば経済との両立をどうすればいいんだろうという声が、実は聞こえてきたりするのが気になっているんですね。例えば3・11のときは、気になってるんですけれども。例えば政府がどういうふうに検証するかというときに一斉休校を思い出したらいいと思うんですが、あのとき専門家会議は議論をしていないと言ったんですね。じゃあ政府はちゃんと専門家の意見を聞いて決めているのかあるいはおいしいところだけつまみ食いしているんじゃないかという心配も出てくるんですね。専門家会議、PCR検査、最初は抑制していたんですが、今は拡大に移っている。これはなぜそうなったのかというのも実は説明がなくてこれも議論が必要なわけですね。もう一つ、教訓を忘れちゃいけないと思うんですが、今、専門家会議の感染症のメンバーからも例えば経済との両立はどうすればいいかという言葉が出てくる。これとても気になるんですが、実は3・11のときに原子力の専門家が安全性だけじゃなく経済性も意識した、ある種原子力村に取り込まれたということがちゃんとしたまとめができなくなったということがいえているわけです。ちゃんとした対策が取られなかったと。その一方で、例えば大きな津波を懸念した人たちの意見は無視されて排除されたということが起きてしまっているんです。今の状況がそうだとは言いませんけれどもでもこういう疑念を持たれないためにも例えば、今でなければ、5年後、10年後なんかでもいいから、公開すべきだと思いますね。やはりこの政権、とても公文書の不透明さが指摘されています。これは何よりも、今回は命に関わることなんだということをこれは本当に忘れてはいけないと思います。

要旨をまとめると、
・新型コロナの流行は歴史的緊急事態であり、政府は公文書を詳しく残さないといけないことを決めたにもかかわらず、議事録は作成されていない。
・議事録がないと、政策が決定したプロセスを残さないと将来検証ができず、また本当に政府が専門家会議の意見を取り入れた行動をしているかわからない。
・PCR検査数も増加しているが、なぜ増加しているかも記録がないと議論ができない
・議事録を作成し透明性を担保すべきである

というものです。

しかしながら、
・もともと、以前から政府はPCR検査の増加の拡充を図っている。最近PCR検査が増えたのではなく、以前から政府はPCR検査を増加させる方向性は提示しており、「最近PCR検査を増やした」という松原氏の主張は明らかに事実に反している。
・政策決定を供ない発言は議事録概要で良いとした民主党政権については触れず、「政権に透明性がない」と主張するのは政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「議事録を作成すべき」「政府には透明性がない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「議事録作成の基準を決めたのは東日本大震災の時の民主党政権である」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では③政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 新型コロナウイルスの第二波について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」にて国家安全法案について放送された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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